宅配業者をかたったショートメッセージサービス(SMS)が、大量に出回っている。添付されたURLは業者を装ったウェブサイトにつながり、個人情報を抜き取られるといった被害も。クリスマスやお歳暮で贈り物の宅配も多いこの時期、注意が必要だ。
「お客様宛(あて)にお荷物のお届けにあがりましたが不在の為持ち帰りました。下記よりご確認ください」。10月末、記者のスマートフォンにSMSが届いた。「sagawa」の文字を含むURLが添付され、運送大手の佐川急便からかと思ったが、着信が深夜だったことなどから「怪しい」と感じ、アクセスはしなかった。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)や埼玉県警によると、佐川急便を装ったSMSは7月以降に増加。URLをタップすると、基本ソフトがアンドロイドのスマホでは同社の偽サイトが開くと同時に、不正なアプリがスマホに送り込まれる。インストールしてしまうとスマホ内の情報を抜き取られ、スマホ決済で物を買われたり、自身のスマホから同じSMSが他のスマホに送られたりするという。
iPhoneだと、アップルのIDやパスワードなどを入力させるフィッシングサイトに誘導される。これらの情報でスマホ決済を悪用され、埼玉県内では約9千円分の金券を購入された被害も出ているという。
IPAには今月17日までに計676件の相談が寄せられた。「不在通知を装う手口を知ることが一番重要」と担当者。アプリを導入してしまった人には、機内モードに切り替えて通信を遮断し、SMSを送れない状態でアプリをアンインストールすることなどを推奨している。
埼玉県警サイバー犯罪対策課によると、県警には同様の被害の相談が計264件(10日現在)寄せられた。7、8月は計85件の被害を確認。9月は減ったが、10月71件、11月82件とまた増えてきた。
佐川急便は7月からホームページで注意喚起している。同社は不在配達や再配達の通知をメールで受け取れるサービスをしているが「SMSでは行っていない」と呼び掛けている。
12月中旬からはヤマト運輸を装ったSMSも確認されている。同社も登録会員はメールやLINE(ライン)で不在配達の連絡を受け取れるが、SMSでの通知はしていないという。(高絢実)