厚生労働省は、高い専門性を身につけた児童福祉司を認定する国家資格の創設について検討を始める。虐待を防ぐため、児童相談所(児相)職員の知識や対応力の向上を狙う。有識者らによる委員会を1月以降に設け、具体的に議論する。
児童虐待防止策を検討する社会保障審議会(厚労相の諮問機関)のワーキンググループ(WG)が26日に取りまとめた報告書に、児相に勤める児童福祉司の中で専門性が高い人を対象にした国家資格創設の検討が盛り込まれた。
児童福祉司は国家資格ではなく、医師や社会福祉士などの資格を持った人や、大学で心理学などを学んだ人たちの中から自治体が任用する。報告書では、児童福祉司らについて「専門性の確保・向上と、それを客観的に把握できる枠組みを検討する必要がある」と指摘。ただ、具体策として新たな国家資格を創設することには賛否両論があるとし、新設の委員会で具体的に検討するよう求めた。
このほか報告書では、児相が強制的に子どもを一時保護する「保護機能」と、家庭相談などを担う「支援マネジメント機能」を確実に果たせるよう、部署や担当職員を分けることも提案。法的な知見を踏まえた対応の強化には、常勤を含む弁護士の配置が望ましいとした。(浜田知宏)