犯罪被害者や遺族らを支援する三重県の条例が早ければ来春にもできる。条例制定を後押ししたのは、当時15歳だった娘を事件で失った父の決意だった。
知事に一通の手紙
制定に向けた動きは、鈴木英敬知事への一通の手紙から始まった。筆を執ったのは、寺輪悟さん(50)。2013年、中学3年だった娘の博美さんが、朝日町の空き地で高校3年の少年に襲われ、死亡した。
5年近い月日が流れた今年5月、関連する全ての裁判が終わり、悟さんは6月に記者会見に応じた。これまでの苦悩の日々を語り、三重県では犯罪被害者を支える仕組みなどが不十分だと訴えた。鈴木知事に条例の制定を訴えた手紙を送ったことも明かした。
私は悟さんの強い決意を感じ、個別の取材を申し込んだ。昨年4月に三重に赴任した私は事件当時のことを知らない。悟さんを取材するのも初めてだった。
そんな私にも、悟さんはつらい…