宮崎県日南市の森林に、不思議な二つの円形模様が出現し、「ミステリーサークル」だと話題になっている。こんな形になったのは、40年あまり前の植林のやり方に理由があるという。
管理する林野庁・宮崎南部森林管理署によると、地元特産「飫肥(おび)杉」の成長を調べる試験林。720本を同心円状に植えたのが1974年。36本の木で一つの円がつくられ、円の外側になるほど間隔をあけて植えた。
住宅建材用の杉に適した植栽密度と成長の関係を調べる狙いがあり、同心円状に植えたのは「ほかの形と比べて観察がしやすかった」という。その結果、外側の杉ほど高く成長。中心に一番近い杉の高さが約15メートルに対し、最も外側の杉は約20メートルに育った。
管理署は杉の成長を地上から調査してきたが、2016年にドローンで初めて上空から撮影。「ミステリーサークルのようになっていた」と驚いた。
地元の林業関係者やインターネットで話題が広がり、管理署は11月、公式サイトに「ミステリーサークル」の項目を新設し、試験林の歴史や試験結果を公表し始めた。管理署の野辺忠司次長は「植栽密度によって木の高さは変わらないというのが定説だったが、覆す珍しい現象が起きている意味でもミステリー」と話す。
試験林は、試験開始から約50年の23年に伐採する予定だったが、珍しい現象の観察を続け、観光資源としても残すことにした。
近くの猪八重(いのはえ)渓谷…