巻き貝のような殻の中から、目玉と8本の足がニョロリ――。珍しいタコの一種「タコブネ」が、神戸市須磨区の市立須磨海浜水族園で展示されている。詳しい生態はわかっておらず、水温や水流、光の具合などを調整しながら、手探りでの飼育が続く。
高知県大月町の漁村に住む水族園のスタッフが12月中旬、地元漁師の定置網にかかったタコブネを見つけ、買い取った。生きて見つかるのは珍しく、水族園での展示は6年ぶり。
水族園によると、メスの個体で体長10センチほど。うち殻が約7センチある。ヤドカリのように貝殻に入るのではなく、体から分泌した炭酸カルシウムで自ら殻をつくる。そこにすみ続け、内側に卵を産む。オスは殻を持たず、体長はメスの20分の1程度しかない。
全国的に飼育例が少なく、飼育員の加茂耕太朗さん(27)も「生きた個体を見るのは初めて。わからないことが多く、最初は展示できるのか不安だった」と言う。
エビを与えたところ、もぐもぐと食べた。いろいろ試しながら、どう飼育すればよいかを探っている。「常設展示をしている水族館はおそらく国内にないと思う。珍しい姿を少しでも長くお見せしたい」と話している。
入園料は18歳以上1300円、15~17歳800円、小中学生500円。水曜休園(年末年始は無休。12月26日、1月2日も開園)。問い合わせは須磨海浜水族園(078・731・7301)。(飯島啓史)