自身の製造機でつくったナプキンを手にするムルガナンタムさん(右)と、妻シャンティさん=インド南部コインバトール、奈良部健撮影
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女性の生理がタブー視されたインドで、安価な生理用ナプキン(パッド)を開発し、多くの女性を救った男性がいる。その取り組みは、無知や偏見から通学すら諦めてきた農村の少女たちに学ぶ場を取り戻しただけでなく、女性の新たな就業機会ももたらしている。
男性はインド南部コインバトール郊外で金物技師をしていたアルナチャラム・ムルガナンタムさん(56)。後に「パッドマン」と敬われる挑戦のきっかけは1998年、新婚の妻シャンティさん(42)が自宅で、汚いぼろきれを隠すのを見たことだった。使い道を尋ね、生理の時に使うとわかって驚愕(きょうがく)した。「スクーターの汚れを拭く布よりもひどいものだった」
当時市販されていた生理用ナプキンは5枚で30ルピー(1ルピー=1・6円)。購入して妻に渡すと「家のミルクが買えなくなる。返してきて」。ムルガナンタムさんの当時の月収は約5千ルピー。妻の言葉にナプキンの自作を誓ったという。
インドでは生理が不浄なものと…