キリスト教東方正教会の首席総主教とされるバルトロメオス1世コンスタンチノープル全地総主教は6日、本拠があるイスタンブールの教会で、ウクライナ正教会の独立を認める文書を同教会に交付した。ウクライナの正教会は17世紀後半からモスクワを総本山とするロシア正教会の管轄下に置かれてきたが、全地総主教庁が昨年から進めてきた独立手続きがこの文書交付で終わったことになる。
ウクライナでは昨年12月、独立承認を受けるため、ウクライナ系とロシア系に分裂していたウクライナ正教会を統一する聖職者会議が開かれた。しかし、東方正教会で最大勢力のロシア正教会はウクライナ正教会の独立に激しく反発。ロシア系のウクライナ正教会(モスクワ総主教派)が教会統一に加わらず、対立があらわになっていた。
バルトロメオス1世は5日から始まった儀式で独立を認める文書に署名し、12月の聖職者会議で新たなウクライナ正教会トップに選出されたエピファニー府主教に手渡した。
儀式には、ロシアのプーチン政権と激しく対立し、教会独立を働きかけてきたウクライナのポロシェンコ大統領や議会議長が出席した。(モスクワ=喜田尚)