築地から移転し、最初の正月を迎えた豊洲市場(東京都江東区)で5日、新春の初セリがあった。「今年もよろしくお願いします」。場内のあちこちで新年のあいさつが交わされ、仲卸の帳場では、和服姿で電卓をたたく女性も。注目の生の本マグロは、青森県大間産の278キロに史上最高値の3億3360万円がつき、ご祝儀相場にわいた。
大間のマグロ3億3360万円 豊洲初セリで史上最高値
《ヨーッ、シャンシャンシャン……》
午前4時半過ぎ。マグロの見学者デッキでは、小池百合子知事のあいさつに続いて「手締め」が鳴り響き、初セリを祝った。
毎年の注目は、生の本マグロだ。今年も、銀座のすし店から依頼を受けた水産仲卸「やま幸(ゆき)」と、最高値マグロの常連「すしざんまい」の闘いとなった。
昨年は両者の狙うマグロが割れ、「やま幸」が最高値3645万円のマグロを落札。「すしざんまい」は1キロ単価で最高値の1本を3040万円で落とした。
初セリで熱視線を浴びるのが青森県大間産だ。ある関係者は「味の目利きより、でっかい大間産しか眼中にない感じだね」と笑った。初セリに並んだ生の本マグロは、181本。しかし、300キロに迫る大間産は1本しかない。高騰が予想され、セリの前から写真を撮る関係者もいた。
「相手は青天井でしたね」と、「やま幸」の山口幸隆社長。3億円を用意していたが、それ以上につり上がり、セリを降りた。一方、2年ぶりに最高値のマグロを手に入れた「すしざんまい」の木村清社長は、ほくほく顔で「3千万~6千万円くらいかと思ったけどね」。
「3億円マグロ」は、築地場外市場の同社本店で解体された。切り身はチェーンの全店に少しずつ配送され、運が良ければ口に入るかも知れない。(抜井規泰)