世界からえりすぐりのマグロを集め、魚とすしの文化を発信した東京・築地市場が閉場して半年たった。その記録を撮影してきた朝日新聞記者たちによる写真展「築地 マグロの記憶」が、移転先の豊洲市場内にある図書館「銀鱗(ぎんりん)文庫」で始まった。5月30日まで。
特集:築地 時代の台所
展示するのは二十余点。マグロ類を市場では「大物(おおもの)」と呼ぶが、文字通り巨大な魚がセリ場に並ぶところから、下付けと呼ぶ品定めの緊張感、セリの最中の活気など、マグロと人の織りなす毎朝のドラマに焦点を当てた。
ぬれた石畳や、マグロの赤い身を照らす懐中電灯など、衛生基準を上げて照明もLEDに変わった豊洲では、もう見ることのできない光景となった。一方で、仲卸たちは「同じ人間が働いている」「魚にとっては低温に管理された豊洲の環境はよかった」ともいう。市場において、変わるものと変わらないものが、写真からも浮かび上がる。
現在も築地の場外市場はにぎわいをみせるが、旧市場の敷地内では解体作業が進み、特徴的だった扇形の建物も一部を残すだけになっている。
□会場:銀鱗文庫ミニギャラリー(東京都江東区豊洲6の6の1 東京都中央卸売市場豊洲市場管理棟3階)
□開館時間:午前10時~午後2時、無料
※休館日は水曜、日曜、祝日。大型連休中の開館日は、4月27日(土)と29日(月)、5月2日(木)、3日(金)、6日(月)