その珍しい響きの給食を知ったのは昨年11月、食育の取材で福島県会津若松市の市立一箕(いっき)小学校を訪ねた時だった。栄養教諭の二瓶美智子さん(60)が年間の献立を説明する中で「9月に『籠城(ろうじょう)食』を出しました」とさらりと話した。
献立は南瓜(かぼちゃ)と大豆のみそあえ、玄米ごはん、じゃがいものみそ汁、大根の香り漬け。1868年の戊辰戦争で会津藩は9月22日に降伏するまで、約1カ月間の籠城戦を強いられた。その時に城内で作られた食事を再現したものだという。
「他の学校でもやっていますよ」との二瓶さんの言葉を受けて市教育委員会に尋ねたところ、昨年9月に30の市立小中学校のうち、26校で提供されていた。会津若松の子どもたちにはおなじみの献立だということを、恥ずかしながら知らなかった。
学校によってメニューに若干の違いはあるが、南瓜と大豆をみそ味で煮た料理はほぼ共通する。
どうして籠城食が給食に取り入れられたのか。まず発案者である食文化研究家の平出美穂子さん(72)に会って、話を聞くことにした。
平出さんは2007年に市内で…