市議会に説明なく予算を流用して体育館の改修を急いだのは、副市長の長年の友人が関わる新設バスケットボールチームのためだったのでは――。そんな疑惑に佐賀市が揺れている。昨秋に始まった市議会の追及で、異例の特別扱いやずさんな手続きが続々と発覚。改修を主導した畑瀬信芳副市長は一貫して疑惑を否定しているが、今月になって辞意の表明に追い込まれた。
疑惑の舞台は、廃校になった市立富士小学校(佐賀市富士町)の体育館。市は昨年1月から改修の手続きを進め、約3千万円をかけた工事は3月末に完了。4月に発足したバスケチーム「佐賀バルーナーズ」が練習場として主に使っている。
昨年9月、報告なく体育館が活用されていると気づいた議員の質問を機に、市議会の追及が始まった。チーム発足に合わせて1カ月程度のスピード工事だった上に、予算を別施設の解体費の残金から流用したり、条件付き一般競争入札が原則のケースなのに随意契約したりする異例の手続きが明らかになった。
市は当初、改修の理由を「地元住民の要望」と説明していたが、実際のきっかけは一昨年10月、当時総務部長だった畑瀬副市長が、長年の知人というサッカーJ1・サガン鳥栖運営会社の竹原稔社長から、バスケチームの練習場について相談されたことだった。バスケチームの運営会社の社長は竹原社長の息子。畑瀬副市長の息子は昨年7月、竹原社長が経営する別の会社に就職し、バスケチームの運営を手伝っていた。
「便宜供与だ」と反発した市議…