厳寒の諏訪湖を毎朝、一周しながらごみ拾いを続ける男性がいる。長野地検諏訪支部などで検事を務めたあと、東京で弁護士事務所を開いていた小清水義治さん(79)。諏訪は亡き妻が愛した地だった。弁護士事務所をたたんで諏訪に住み、6年半前に早朝ごみ拾いをスタート。この21日には3代目の自転車を購入し、白い息を吐きながら早朝の諏訪湖を走っている。
起床は朝5時20分。簡単な食事をとり、15分かけてたっぷりと服を着込む。上半身は6枚、下半身が4枚重ね。手袋も3重。6時40分、前後の荷物かごに分別用の各種袋や火ばさみを入れた自転車で家を出る。
周囲16キロの諏訪湖を2時間かけて一周し、ごみを拾う。「弁当がらをよく拾うんですが、夏はくさいし、冬は凍っているし……」。集めたごみは20~30分かけて分別し、洗浄する。
1、2月の諏訪湖近辺は零下10度まで下がる朝も珍しくない。「大変かって? 楽しいです。ごみ拾いじゃなくて宝物拾い。私、北海道にいましたから寒さには強いんですよ」。雨の日は家の周りで拾うが、それ以外は毎朝、諏訪湖の周りを走っている。
実家は東京・世田谷の牛乳屋。検事となって最初に赴任した京都地検で上司の娘と見合いし、結婚した。それが生涯の妻となる邦惠さんだった。1968年1月、結婚直後の新婚旅行で諏訪に足を運んだ。諏訪湖は全面結氷していた。北海道や神奈川の地検を回り、74年に長野地検諏訪支部に赴任。「新婚旅行で来たところだ」と感慨深かった。
「住むうちに家内が諏訪を気に…