受験シーズン本番。28日からは国公立大2次試験の出願が始まっている。北海道大学は、合格者に占める道内高校出身者の割合が年々減少し、昨年の入試では過去最低に落ち込んだ。道外からの人気が高まる一方、地元出身者には「狭き門」になっている。現状と背景を探った。
旧7帝大の一つで、豊かな自然に恵まれたキャンパス。北大はもともと全国的に人気が高い大学だ。
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2009年実施の一般入試(前期、後期)の合格者は、道内と道外の出身者がほぼ半々だったが、道内出身者の割合は減り続けている。昨年は32・2%まで落ち込み、記録が残る1990年以降で最低だった。
道立の北広島高校(北広島市)は例年、前期と後期を合わせて延べ40人前後の現役生が北大を受験する。昨年の合格者は現役5人(浪人生を含め計10人)で、17年は18人(同25人)、16年は14人(同19人)。以前は現役だけで30人が合格した年もあった。進路指導部長の島田勝教教諭は「本校だけではなく道内の高校生の学力、特に2次試験に向けた力が、相対的に道外生に水をあけられているようだ」と分析する。2次試験に向け、希望大学や選択教科別のコースを設けて、3月の後期日程直前まで全校態勢で受験指導に当たるという。
道内のある地方都市の進学校は昨年、現役と浪人合わせて18人が北大に合格した。過去には50人近くが合格した年もあったといい、進路指導の男性教員(54)は「20人を切って危機感を持った。今年はなんとか盛り返したい」と話す。
北海道高等学校進路指導協議会会長の清沢智克・札幌月寒高校校長も「10年前なら北大に受かっていた層の道内受験生が、道外からの受験生が増えたことで押し出される形になっている。札幌圏以外の地域の高校では、その傾向がさらに強いのではないか」とみる。
こうした状況に、進路指導担当の教員からは、北大の入試に「地域枠がほしい」との声が出たこともあるという。
旧7帝大のうち、首都圏と関西圏(東大、京大、大阪大)を除く3大学の地元出身比率を見ると、東北大は東北6県で36%、名古屋大は東海3県と静岡県で72・5%、九州大は九州7県で63・5%(いずれも18年度入学者)。東北大は10年前の四十数%から徐々に下がっているが、北大ほどの大きな落ち込みはない。
総合入試・後期募集人数 魅力
代々木ゼミナール札幌校の篠田孝司・進学相談室長は、北大が学部別入試に加えて11年に導入した「総合入試」を大きな要因とみる。
文系、理系の大ぐくりの枠で受験し、本人の希望と1年次の成績によって学部・学科に進むシステム。入学後に進路をじっくり考えられる点が大きなメリットだ。総合入試の理系は、数学、物理、化学など特定科目に高く配点するため、得意科目を生かして受験できるのも、受験生にとっては魅力だという。
「後期日程である程度の人数を取っているのも特徴です」と篠田さん。旧7帝大のうち、東大、大阪大は後期入試を実施しておらず、大半の大学も募集人数はわずか。一方、北大の一般入試は前期1924人に対し、後期は492人募集する(当初募集要項による)。前期で東大などの難関大を狙った受験生が、後期で北大に出願するケースも目立つという。
北大の後期入試の合格者は前期よりも道外出身者の割合が高く、昨年は8割を占めた。篠田さんは「道内生が減る傾向は今後も続くのではないか」と話す。
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