たばこ箱の「喫煙は健康を害する」という警告文。いまは包装の3割の面積だが、来年4月から5割に増える。東京五輪を前に財務省が決めた。世界保健機関(WHO)が2003年に定めた「推奨」の水準にやっと達するが、諸外国では見た目に害がわかりやすい画像を使うなど、もっと強い表現がふつうだ。
膨れた舌(フランス)、真っ黒い肺(トルコ)、巨大な腫瘍(しゅよう)(インド)、白濁した眼球(カザフスタン)、ぼろぼろの歯茎(イタリア)、血を吐く女性(デンマーク)、吸い殻の詰まった内臓(ブラジル)。すべて、たばこの包装に描かれた画像だ。
カナダがん協会の昨年の調査では、118の国と地域がこうした画像を採用する。たばこによる健康被害を減らそうという意識が高まり、21世紀に入って増えた。文字より効果的に健康への影響が伝わり、未成年者の喫煙防止にも効果があるという研究もある。
だが、財務省は今回の改訂で採用を見送った。2016年に行ったアンケートで、こうした画像は「過度の不快感、恐怖感を与える」と回答した人が61%に及んだからだ。
もっとも、同じ年の国立がん研…