立体を作り出す3Dプリンターを使い、山形大学工学部(山形県米沢市)が介護食作りに挑んでいる。食べ物をかむ力やのみ込む力が弱くなった人に、形や食感を楽しんでもらおうという発想だ。
川上勝准教授(機械システム工学)ら研究チームの研究室には、ミキサーや木べら、IH調理器などが並ぶ。その真ん中にあるのが3Dプリンター。スタートボタンを押すと、直径2ミリの金属製のノズルから、ゆでてすりつぶしたニンジンのペーストがスルスルスルと出てきた。ノズルの下では、プログラムに従って受け皿が縦横に細かく動きながらペーストを受け止めていく。2分ほどで、板の上には雪の結晶の立体ができあがった。
従来の介護食は、軟らかく煮込んだり、すりつぶして固め直したりして作るため、色や食感が単調になりがちだったという。複数のノズルを持つ3Dプリンターを使うことで、硬さの違う食材を組み合わせて食感に変化を持たせたり、異なる色の魚のすり身を「サケの切り身」の形にしたり、といったことをめざす。
開発の壁は、ペーストの軟らかさ。機械部品などの硬い製品は主に成形時に材料を溶かして固めることで立体を作るが、軟らかいものは重さで崩れやすく、より高度な技術が必要になる。
同大はこれまで、3Dプリンタ…