より速く走るため、より早く止まれ――。世界最速となる時速360キロ運転をめざす次世代新幹線の試験車両「ALFA―X(アルファエックス)」の開発で、JR東日本が最優先で追求しているのは、加速力ではなくブレーキ性能だ。最高速度を上げても、地震発生時に緊急停止するまでの距離は延ばさない。この課題克服のため、国内の鉄道では例のない2種類の補助ブレーキシステムの実用化に挑んでいる。
【鉄道特集】テツの広場
長ーい「鼻」なんと22m 次世代新幹線の試験車両公開
1997年に東北新幹線に登場した「E2系」の最高速度は時速275キロ。現在の主力車両「E5系」は320キロに上がったが、トップスピードから非常ブレーキをかけて止まるまでの距離(非常停止距離)は「4千メートル以内」で変わらない。法的な規制があるわけではないが、スピードを上げても他の性能が下がってはならないという「現状非悪化」の開発ルールに基づくものだ。
ブレーキ力が重視されるのは、地震発生時に高速走行中の脱線を防ぐため、一刻も早く止まることが最優先とされるからだ。2011年3月の東日本大震災では、東北新幹線で27本の営業列車が走行していたが、いずれも緊急停止してけが人はなかった。
JR東によると、360キロ運…