「女の子もヒーローになれる」。こんなメッセージを発信するのは、女の子に人気のアニメ「プリキュア」シリーズだけじゃない。長野県飯田市の高校生たちが地域のイベントで披露する戦隊ショー「高校戦隊 テックレンジャー」は今年度、悪役とたたかう戦士全員が女子の「ガールズ戦隊」に生まれ変わった。どんな進化を見せたのか――。
2月の日曜日、長野県飯田市の松尾公民館に、親子連れが続々と集まってきた。観客は総勢300人ほど。始まったのは「高校戦隊 テックレンジャー」のショーだ。
地球征服をたくらむウリャン星人とカラス星人から、テックレンジャーが地球を守るストーリー。大きな風船をふくらませたり、おもちゃやお菓子を客席に投げ入れたり、手品を披露したりと、子どもたちを飽きさせない工夫を随所にこらした約40分間のショーだ。レンジャーたちが負けそうになると、子どもたちから「ガンバレー」と大きな声援がわきおこり、この日も無事に地球を守り抜いた。
「テックレンジャー」を演じているのは、長野県飯田市にある飯田OIDE(オーアイディイー)長姫(おさひめ)高校の「コンピュータ制御部」の部員たち。前身の飯田工業高の課題研究で、生徒が戦隊ヒーローのマスクを作ったことをきっかけに2010年に結成され、同部の活動として引き継がれた。前身が工業高だったこともあって男子部員が多く、1~2人の女子戦士が加わることはあったものの、活動の中心は男子だった。だが18年春、新境地に踏み出した。戦士全員が女子の「テックレンジャー ガールズ」を始めたのだ。
その理由は部員不足。昨春の時点で残った部員は、男子2人、女子4人の計6人。「こうなったら女子戦隊でいくぞ」。顧問の西村武久教諭が「窮余の策」で発案した。
リーダーの「ガーネット」は赤…