迷子になって道路に飛び出した3歳の男の子を、山口県下関市立豊浦小学校に通う児童3人が助けた。とっさの判断で幼い命を守った3人に8日、長府署から感謝状が贈られた。
男の子を保護したのは、5年生の猪熊(いぐま)空君(11)と弟で4年生の翼君(10)、翼君の同級生の佐々木惇(じゅん)君(9)。同じマンションに住んでおり、よく一緒に登下校している。
1月21日午後4時すぎ、下校中の3人は、下関市長府宮崎町の道路に幼い男の子が1人でいるのを見かけた。交通量が多い国道9号との交差点で、横断歩道の信号は赤。それなのに男の子は国道を渡ろうと駆けだした。
「危ない!」。慌てて男の子を引き留め、空君が抱きかかえて歩道へ戻った。男の子の保護者が見当たらなかったので、近くの交番に連れて行った。
その10分ほど前、同じ交番に男の子の母親が「散歩中にいなくなった」と届け出て、警察官と一緒に捜し回っていた。「警察の人から電話があって、男の子が無事にお母さんと会えたと聞いた。うれしかった」と3人は話す。
空君と翼君には3歳と8カ月の弟が2人、佐々木君にも6歳の弟がいる。3歳ぐらいは盛んに動き回るので目が離せない時期だと身をもって知っていた。「車にはねられるかもしれないと思って、とっさに体が動いた。学校で、迷子を見つけたら交番や大人に伝えるよう言われていたので、その通りにした」と空君。
放課後に長府署で行われた贈呈式では、3人とも緊張した面持ちで感謝状を受け取った。上利嘉(あがりよしみ)署長から「瞬時の判断力と行動力に感動した。ありがとうございました」とねぎらわれ、ようやく笑顔を見せた。
「困っている人を助けられるような大人になりたい」。3人の将来の目標だ。(山田菜の花)