佐賀県職員2人が相次いで自殺し、地方公務員災害補償基金が、長時間労働などによる精神疾患が原因と認めていたことが14日、分かった。県は、損害賠償計約9千万円を遺族に支払う方針。
県人事課によると、職員は30代だった男性副主査と、50代だった男性係長。所属部署は別という。
副主査は2012年、自宅で自殺。本庁で事務を担当し、亡くなる約1カ月前の時間外勤務時間は月133時間だった。同基金は16年、業務による強い精神的・肉体的負荷が精神疾患とその後の自殺につながったと認めた。初めての本庁勤務で慣れない業務が多く、長時間労働につながったと考えられるという。
係長は13年、自宅で自殺した。本庁で事務に携わり、亡くなる約1カ月前の時間外勤務時間は月97時間だった。職場の組織管理の面でも負担がかかっており、精神疾患を発症。同基金は17年、自殺との因果関係があると認めた。
いずれの遺族も18年、県に損害賠償を請求。県は14日に開会した県議会2月定例会に和解のための関連議案を提出した。県は再発防止策として、時間外勤務が月80時間を超えた職員の所属長面談や、業務配分の見直しに取り組んでいるという。
藤原俊之総務部長は「職員の自死との間に因果関係があるような精神的・肉体的負担を与えたことや、勤務時間の管理が適切にできていなかったことは、県として責任を負うべきであり、遺族に対して大変申し訳なかったと考えている」とのコメントを出した。(杉浦奈実)