1997年に経営破綻(はたん)した北海道拓殖銀行(拓銀)の最後のトップ、河谷禎昌(さだまさ)さん(84)が「最後の頭取 北海道拓殖銀行破綻20年後の真実」(ダイヤモンド社)を出版した。特別背任罪で実刑判決を受け、大手行トップで唯一、刑務所で1年7カ月を過ごした。バブル崩壊の生き証人は、何を語ったのか。
収監「スケープゴートの運命背負った」 拓銀最後の頭取
本は、昨年5月9日付の朝日新聞朝刊オピニオン面向けにインタビューした本紙の日浦統(おさむ)記者(オピニオン編集部)が河谷さんとともにまとめたもの。河谷さんの生い立ち、拓銀におけるキャリア、頭取時代の苦悩から刑務所暮らし、バブル崩壊の教訓などを赤裸々に語っている。
本によると、河谷さんは57年に入行。札幌南支店を振り出しに、経営計画を取りまとめる企画畑を長く歩いた。専務時代には不良債権処理を担当し、94年6月、頭取になった。
河谷さんは就任時、拓銀がかかえる不良債権額を2千億~3千億円程度とみて「これぐらいの不良債権なら時間をかければ、何とか処理できるだろう」と引き受けた。だが、「そんな甘い考えを抱いたのが、間違いの始まりでした」。
拓銀はすでに世間から「危ない…