京都御苑(京都市上京区)の近く。鴨川に面し、大文字山を望む景勝地に、廃屋が並ぶ宮家の跡地がある。戦後は寺になったが、この40年は住職が不在で、土地の売買を装って金をだまし取る地面師事件の舞台にもなった。この土地がどう変わるか、注目されている。真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)が引き取り、京都府とともに活用法を検討しているためだ。
大谷派が引き取る
京阪出町柳駅から賀茂大橋を渡ると、大谷派の「了徳寺」(1615年創建)がある。鴨川の向こうに東山の山並みが見える。
門徒総代の浅岡美恵・元京都弁護士会会長(71)や建物を調べた建築士によると、敷地は約4800平方メートル。もともと皇族の伏見宮の別邸で、1892(明治25)年、伏見宮貞愛(さだなる)親王の時に建築された屋敷や、江戸後期のものと考えられる門が残る。
市の報告書によれば1926(大正15)年に凍氷商で財をなした山田啓助氏の長男がこの土地を購入。翌27(昭和2)年に洋館を建築した。京都市中心に残る邸宅遺構として最大規模という。
了徳寺が購入したのは戦後の5…