4月7日投開票の福井県知事選は、自民党県連が分裂し、旧自治省出身の現職と、総務省出身の新顔が対立する構図で17日に事実上のスタートを切った。
この日、福井市内に事務所を開いたのは、5選をめざす現職の西川一誠(いっせい)氏(74)と、元副知事として西川氏を支えたこともある新顔の杉本達治氏(56)。
「若さと行動力で新しい風を吹き込めるように、全身全霊を傾けたい」。事務所開きで決意を語った杉本氏。自民党は15日に杉本氏への推薦決定を発表し、安倍晋三首相からの「檄文(げきぶん)」も事務所に貼られた。
西川氏も同時刻に事務所の開所式を開き、「新幹線や高速道路はあと4年で大きな方向が出る。最後の仕上げをやらせてほしい」と訴えた。県議会最大会派の自民党新生会(15人)から5人の県議が姿を見せた。
自民はこれまで西川氏を推薦してきた。ただ、政治手法を巡る不満が県連内部で次第に募り、昨年10月、県連幹事長の県議が中心となって杉本氏の擁立をめざす議員連盟を結成した。
これに対し、県議会で最大会派だった県会自民党25人のうち、15人が翌11月に西川氏を支持する会を発足させ、新会派の自民党新生会も立ち上げた。
党本部は県連内で一つになるように求めたが、最終的には杉本氏の推薦を決めた。甘利明・選挙対策委員長は「混乱を避けるために党本部として推薦の意思決定をした。従ってまとまってほしい」と述べた。
知事選での対立が決定的になる一方で、自民県連は今月14日、知事選と同日の県議選で、西川氏を支持する現職県議12人の公認も決めた。夏の参院選への影響が最小限になるように配慮したとの見方が広がる。
自民県連会長の山崎正昭参院議員は「党本部、県連の方針に従ってもらいたい」と呼びかける一方、従わなかった場合の対応について「今の段階では考えていない」と話している。(山田健悟、堀川敬部)