元々ある飲食店の営業時間外に店舗を借りて料理を出す「間借り飲食店」が広がりつつある。初期費用をかけずに飲食業にチャレンジできる利点があり、なかには間借りから独立してミシュランガイドに掲載されるまでになった「出世店」も現れた。
2016年5月に神奈川県鎌倉市にオープンしたカフェ「FOOD STAND magali(フード スタンド マガリ)」は、その名の通り、間借り営業から始まった。
吉田将崇さん(36)と妻が、客として通っていた同市のワインバーで12年から3年半、週1日の定休日に場所を借りて営業した。
バーにある食器類や調理器具を使わせてもらった。ただ、火事や食中毒が起きた際の責任の所在や、食器を割った場合の弁償額などはバーのオーナー、大家と細かく取り決め、営業を終えた後の原状回復は徹底した。
「バーの看板に傷を付けられない緊張感はあったが、この街と信頼関係を築く時間になった」と吉田さん。今も、当時知り合った店主らが経営面で相談にも乗ってくれるという。
東京都世田谷区にある完全予約制のカレー店「Kalpasi(カルパシ)」の店主黒沢功一さん(40)も15年10月から4カ月間、東京・浅草の日本酒バーで、日中に間借り営業した。その間、バーのオーナーと数万円ずつ家賃を負担し合った。16年10月に今の店を開店。「飲食業経験がないなか、マナーなど基本を学べた」と話す。
こうした間借り店から「出世店」も出てきた。
東京都豊島区の西武池袋線東長…