高知市の高知医療センターで、入院中の80代男性患者に看護師が便秘治療のため浣腸(かんちょう)をした際、過って直腸に穴を開ける医療事故があったことが分かった。症状悪化を防ぐため患者は人工肛門(こうもん)を開設する手術を受け、経過観察のためセンターに通院しているという。
医療センターを運営する高知県・高知市病院企業団の議会が18日に開いた議員協議会でセンターが報告した。島田安博病院長の説明によると、事故があったのは昨年11月以降。患者は別の病気で入院中で慢性便秘だった。看護師は患者の求めに応じ、立った姿勢で浣腸のチューブを挿入した。
だが排便が難しく、肛門周囲に少量の出血などがあったため詳しく調べたところ、直腸に穴が開いていることが確認されたという。
島田病院長によると、ベッドで横たわった状態で浣腸をするのが通常の処置。立った姿勢の場合は直腸に穴が開く事例が知られている。だが、看護師は認識していなかったと話しているという。
患者は経過が良好であれば半年後をめどに人工肛門を閉じる。島田病院長は「高齢者に負担をかけ、申し訳ない。今後は、通常と異なる処置をする時は上司に相談するなど原点に返った対応をしたい」と話している。(清野貴幸)