青森市内でホテルの進出計画が相次いで明らかになっている。背景には昨今の外国人観光客の増加だけでなく、国内からのビジネス利用の堅調な需要があるようだ。一方でホテル間の競争は激化しており、既存のホテルは危機感を募らせている。
青森駅前から伸びる新町商店街沿いにあり、建設資材会社「角弘」本社を含む一帯の「中新町山手地区」。昨年末、この地区でホテルが入る新たな複合施設2棟の建設が検討されていることが明らかにされた。
地権者らでつくる「中新町山手街区まちづくり協議会」の野沢正樹会長は、この地区について、「モノを売るという古典的な商店街エリアではなくなってきている」と話す。再開発で現在と同じような路面店を並べても、かつての人通りの多さはなく、先行きは見通しにくい。
一方、県内を訪れる外国人観光客はこのところ増え続けていて、2017年の県内の外国人延べ宿泊者数は約24万3千人で過去最高に。「外国人や県外観光客など、さまざまな客層に対応できるのはホテルではないか」と野沢会長。
ただ、外国人観光客は為替などの影響を受けやすく、今後も安定して増え続けるかはわからない。そのため、ビジネス客の固定的な需要があるかどうかが、ホテル進出の鍵となっているようだ。
新青森駅前で20年春の開業を予定しているビジネスホテルチェーン「東横イン」。新たなホテルは、客室246室が入る14階建てとなる計画という。担当者は「出張客をターゲットにしたい」と期待を寄せる。
一定のビジネス客を見込める背景として、県内の財界関係者は「青森から撤退する支店や出張所が相次いでいることが影響しているのでは」と分析する。
16年の経済センサスによれば、青森市内の事業所は1万3289カ所で、4年前から486カ所(3・5%)減。事業所が青森市からなくなれば、そこで働く従業員も転勤することになる。取引先を青森に残している場合、担当者は他エリアから青森へ出張し、ホテルなどに宿泊しながら営業先を回ることが多い。
2年前に青森市から出張所を撤退させた東京都内のメーカーの担当者は、「市場規模を考え、会社の戦略で引き揚げたが、青森にいる顧客をほったらかしにはできない」と話す。
■既存ホテルは…