相次ぐ虐待事件を受け、親の体罰を条例や法律で禁じようという動きがある。「しつけだ」と体罰を正当化する親に対し、児童相談所や学校が関わりやすくなるという。法制化の実現性は?
千葉県野田市で小学4年生の栗原心愛さん(当時10歳)が死亡した事件で、傷害容疑で逮捕された父親は当初、「しつけのためだった」と供述していた。
民法は「(親は)監護及び教育に必要な範囲内で子を懲戒することができる」と定める。懲戒とはこらしめること、制裁をくわえることだ。「懲戒権」と呼ばれる民法の規定は明治からあるが、子どもへの暴力や虐待に「必要な範囲のしつけだ」との口実を与えかねないという批判が根強くあった。
ただ、これまでは家庭の体罰を法で裁くことには慎重な政治家が多く、2011年に改正が俎上(そじょう)にのぼった際も「懲戒という言葉がなくなったら、しつけができないのではないかと誤解されるおそれがある」(当時の江田五月法相)として、削除が見送られた。
日本ではいまだ体罰を容認する…