雪の中、地元の人や友人たちと酒を酌み交わしませんか――。北アルプスのふもと、長野県松本市の乗鞍高原で3月下旬まで、テントを利用した週末限定の「スナック」が営業している。環境に配慮し、電源や送迎に電気自動車を使うユニークな取り組みだ。
標高約1500メートル。県道乗鞍岳線沿いに「のりくら 雪と氷のEVスナック」はある。店舗は高さ約3・4メートルの大型テント(広さ38平方メートル)。定員は12人。北アルプスの天然水で仕込んだ地酒やソバを原料にした焼酎などの酒類のほか、おやきやソバなどの郷土料理も楽しめる。
運営しているのは、自然を生かした地域おこしを手がける「信州未来づくりカンパニー」(松本市)。東京都内で広告会社に勤務していた松嶋豪さん(36)が2017年6月、設立した。長野県の関係者から「上高地や乗鞍高原の観光客が減っている。何か集客のアイデアはないだろうか」と相談されたのがきっかけだ。
地域DMO(観光地経営組織)の一般社団法人「松本市アルプス山岳郷」と協力し、17年夏~秋、テントを使い、乗鞍高原の星空を堪能できる「乗鞍 星と月のレストラン」をオープンさせた。乗鞍高原は中部山岳国立公園内にあって常設店舗の新規開業は難しいが、仮設テントの営業は可能だった。
これが評判となり、「次はスキー客を対象に」と昨年から冬場のスナック経営を始めた。白馬村や野沢温泉村など県内の人気スキー場周辺と違い、乗鞍高原には夜に営業する飲食店が少ない。夜間は宿にこもりがちだった宿泊客に、楽しんでもらおうという狙いだ。
環境に配慮して、電源は電気自…