伊藤忠商事は22日、米国の機能性繊維大手ライクラに約200億円の出資をしたと発表した。伊藤忠の資本提携先である中国の繊維大手、山東如意科技集団が乗り出した買収に参画した。高い伸縮性などを持つ機能性繊維の将来性に着目した。
両社合わせて100%の株を持ち、伊藤忠の持ち分は10%超となる。
ライクラ社は衣料品に機能性を持たせる、いわば「黒衣の繊維」のメーカーで、クモの糸状の細い合成繊維を生産している。高い伸縮性を持つポリウレタン「LYCRA」や清涼感を持たせるポリエステル「COOLMAX」などを手がける。合成繊維を綿や麻とより合わせた糸で生地をつくり、女性用下着や水着、靴下、スポーツウェアなどの衣料品となっている。
ここ20年ほど、機能性繊維は衣料品の世界を大きく変えた。伊藤忠によると、機能性繊維を手がける企業は多いが、生地化が難しいという機能性繊維の弱点を、ライクラ社では克服しているという。伸縮素材のLYCRAの価格は中国製の倍近いが、世界シェアは3割を占め、この素材を使ったアパレル製品は世界で約5兆円規模にのぼる。
伊藤忠は「最近は伸縮するジーンズ、紙おむつの漏れない構造にも採用されています。今後はとくにアジア、中国市場で需要が伸びるので、積極的なビジネス展開をしたい」(広報)としている。(鳴澤大)