慶応大学病院(東京都新宿区)は、昨年8月、体重268グラムの男の子が生まれたと、26日発表した。栄養の管理などを受けて3238グラムまで成長、大きな合併症もなく、今月20日に退院した。元気に退院した男の子では、出生時の体重が世界最小という。
病院によると、男の子は体重の増え方が緩やかで、おなかの中で亡くなるリスクが高かったため、昨年8月、妊娠24週で緊急の帝王切開を行い、誕生した。人工呼吸器を使い、点滴をするなどの対応をした結果、自分でミルクを飲めるようになったという。男の子の母親(29)は「正直、子どもが生きていられるかどうか分からなかった。うれしいということだけです」と話したという。
病院によると、体重300グラム未満で生まれた赤ちゃんの救命率は低く、特に男の子は女の子よりも救命が難しい。男の子は肺の成熟が遅いことなどが理由とみられるという。
世界の事例が登録されている米アイオワ大のデータベースによると、これまで300グラム未満で生まれて退院した赤ちゃんは23人。男の子は4人しかいない。(福地慶太郎)