天皇陛下は皇太子時代の1987(昭和62)年6月6日、この5月に皇位を継承される皇太子さまと親子水入らずで、栃木県日光市の日光白根山(標高2578メートル)の登山を楽しんだ。ところが天皇陛下は途中で、予定にはなかったコース変更を希望した。陛下の我が子への思いを感じ取り、案内役だった中川光熹・日光市山岳連盟副会長(81)を中心に、山の男たちが一斉に動いた。
中川さんの記憶では、当日のコースは金精峠入り口から入山。国境平、五色山、弥陀ケ池での昼食後、日光白根山頂上まで上り、前白根山分岐を通って湯元スキー場入り口までを行く7~8時間の道のりだった。天皇陛下ら一行は7、8人。陛下は白、皇太子さまは茶色の帽子をかぶり、快晴の午前7時に出発した。
陛下と皇太子さまの足取りは軽…