サッカーJ1名古屋グランパスのホーム試合のチケット価格が今季は「時価」になる。需要と供給に応じて価格が変動する「ダイナミックプライシング(DP)」を全試合で導入するためだ。ただ、実質的な値上げ策と警戒する声もある。いかに満足度を高めるか――。クラブは顧客データの活用に力を入れる。
名古屋グランパス
「どのタイミングで買えば損しないのか、悩む」。最近、名古屋市の主婦(37)はチケット購入サイトとにらめっこする日々だ。
人気の試合は高騰
DPではじき出される価格は日々変わる。名古屋での下限は基本価格の2割引き、上限はクラブ側で一定の歯止めをかける。試行した昨季最終節はJ1残留をかけた大一番で、基本価格6700円のロイヤルシートが最大1万2500円まで高騰。全体でも1・3~1・8倍値上がりした。
DPはスタンドに閑古鳥が鳴いていては成り立たないが、名古屋では昨季6試合が満員になり、リーグ戦1試合の平均入場者数が2万4660人でチームの最多記録を更新。入場料収入がJ1制覇の2010年度を上回る9・3億円と好調だったこともDP導入を後押しした。
J1下位に甘んじながらも動員数が伸びた一因は、顧客データを駆使したクラブの誘客戦略にある。
14年の調査によると、応援の動機に「好きなクラブ」を挙げた割合で、名古屋は下から2番目の39位だった。マーケティング部の遠藤友貴彦さん(34)は「お客様視点が欠けていた」と反省する。
■顧客情報を徹底分析、数種のメ…