警察庁は28日、犯罪収益の資金洗浄(マネーロンダリング)に悪用された疑いがあるとして、昨年1年間に金融機関などから、過去最多の41万7465件の届け出があったと発表した。仮想通貨の交換業者からの届け出は前年の10倍以上に増えて7096件に上った。
マネロンが疑われる取引は、犯罪収益移転防止法で所管官庁への届け出が義務づけられている。情報は警察庁に集約され、都道府県警や検察庁に提供される。2017年4月施行の改正同法では、仮想通貨の交換業者にも届け出が義務づけられ、同年4~12月に669件の届け出があった。
また、マネロンの摘発も過去最多で前年より42%多い511件だった。全体の約7割を占めたのは、犯罪の収益を隠したとする組織犯罪処罰法違反で377件(前年比57%増)。うち、暴力団による事件は36件で、前年より14件増えた。
警察庁によると、摘発されたのは、特殊詐欺の被害金やヤミ金の返済金を他人名義の口座に振り込ませる例が多かった。金融機関などは反社会的勢力や不正な金の移動を監視する姿勢を強めているという。同庁は「疑わしい取引に関する情報の分析力を強化して摘発を進めたい」としている。(小林太一)