権利者の許可なくインターネットに上げられた漫画や写真、論文などのコンテンツを、著作権を侵害していると知りながらダウンロードすることを全面的に違法とする政府の著作権法改正案に対し、漫画家ら約1650人で構成する日本漫画家協会(里中満智子理事長)が要件をさらに絞り込むよう求める声明を発表した。
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一方、出版社などの著作権者で作るコンテンツ海外流通促進機構(CODA)は政府案を推す意見を公表。一般の人のネット利用が萎縮するなどの影響が出るかどうかについて、とらえ方が異なるために評価が分かれており、改正案の国会提出を前に賛否の意見表明が相次いでいる。
日本漫画家協会は27日に公表した声明で、現在は音楽と映像だけに限って違法としている著作権侵害物のダウンロードを、すべてのコンテンツに広げる今回の法改正案について、要件をさらに絞り込み、「原作のまま、まるごと複製」したダウンロードで、「権利者の利益が不当に害される場合」に限って違法とするよう求めた。
声明では、法改正案について「『脱法サイト』対策として取り組んで頂いている」と理解を示した上で、「前向きに改善を提言」すると説明。「表現や研究などの萎縮はもとより、人権の制約につながることが決してないように、丁寧で十全な審議を要望する」とした。法改正の検討が始まったきっかけは漫画の海賊版サイトの深刻な被害だっただけに、対策そのものには賛成しつつ、海賊版対策以外の行為が萎縮するような「副作用」が出ないよう求めた形だ。
一方、出版社やテレビ局、映画会社などで作るCODAは28日、政府の改正案を「正当で合理的」とする意見を公表した。法改正案について、著作権侵害のコンテンツだと確定的に知っていた場合に限って違法にするという「主観的な要件」が厳しく設定されており、違法だと知らずにダウンロードしてしまった人が法的責任を問われないことが確実に担保されている▽刑事罰は常習的に違法ダウンロードを繰り返すなど悪質性が高い事案に限定されている――と評価。「ユーザーの表現の自由等が害されないように十分に配慮されています」と説明した。
今回の法改正案に対しては、著…