道産子のソウルフードともいわれる北海道土産の定番「松尾ジンギスカン」が4月に値上げされる。米国、中国、韓国、中東などで羊肉の人気が高まり、仕入れ先の豪州産やニュージーランド産の「争奪戦」が起きているためだ。
販売するマツオ(北海道滝川市)が1日発表した。松尾ジンギスカンは、すり下ろしたタマネギ、リンゴ、ショウガなどを使った秘伝のたれに漬け込んだ羊肉。冷凍製品が新千歳空港や北海道内のスーパーのほか、インターネットなどで売られている。
マツオは、マトンやラムといった看板商品を4月1日から13~18%値上げする。創業から60年以上変わらない味の「マトン」(400グラム)が130円値上げの税込み820円、一番人気の「特上ラム」(同)が140円値上げの1100円となる。
豪州産の羊肉をPRする「MLA豪州食肉家畜生産者事業団」によると、豪州では昨年の干ばつの影響でエサが不足し、ヒツジが次々と出荷された結果、羊肉の生産量が減っているという。
さらに、米国で赤身の肉がブームになっていることや、安全を志向する中国の富裕層が国産ではなく豪州産の羊肉を食べるようになり、需要が増しているという。韓国でも北海道のジンギスカンのように薄切り肉を焼く食べ方が人気という。
マツオによると、輸入の羊肉の価格は右肩上がりで、この十数年で1・5倍に。製品の値上げは4年半ぶりという。担当者は「値上げを我慢してきたが、コスト削減も限界に来てしまい、値上げせざるを得なかった」と話す。
道内や都内で展開するレストラン「松尾ジンギスカン」のメニューを値上げするかどうかは未定だという。(伊沢健司)