神奈川県横須賀市は5日、市施設の地下倉庫で、建設中の東京駅を写した、1911(明治44)年撮影の写真の原本が見つかったと発表した。さいたま市の鉄道博物館などに複製があるが、原本は貴重だという。今後、保存・公開を検討する。
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横須賀市によると、写真は鉄骨を組む工事を終えたころの東京駅を現在の丸の内側から撮影したもので、やぐらを組んで高所から撮ったとみられる。写真の大きさは縦約20センチ、横約53センチ。台紙には「中央停車場建築」「株式会社東京石川嶋造船所製作」「明治44年7月19日撮影、宮内」と書かれている。現在、東京都文京区にある写真館「宮内写真場」が撮影したものという。
鉄道博物館所蔵の複製は、個人が戦前に、当時東京にあった交通博物館に提供したもの。個人所蔵の原本は戦災で焼失した。宮内写真場の原本も戦災で焼けたという。
2017年2月、西行政センター(同市長坂1丁目)の地下倉庫の整理作業中に写真が発見された。同センターは1986年完成。写真は前身の西部支所時代からあったとみられ、地域住民から寄託されたものとみられるという。
市自然・人文博物館の菊地勝広学芸員は「拡大しても細部や背景がくっきり見えて、撮影技術の高さがうかがえる」と話す。今後、同館で保存し、公開を検討するという。(太田泉生)