中国の全国人民大会(全人代)は、共産党政権の命綱といえる経済の変調と、米国との対立という「内憂外患」のなかで幕を開けた。習近平(シーチンピン)指導部はリスクを承知で景気の浮揚策を打ち出す一方、軍事力でも米国を追い上げようと国防費をさらに膨らませる。
「国内経済は下押し圧力が強まり、消費の伸びが鈍り、有効投資が伸び悩んでいる」
政府活動報告に立った李克強(リーコーチアン)首相は、「思危方能居安(普段から危機に備えることで初めて安心できる)」ということわざを持ち出し、中国経済の危機を赤裸々に語った。実際、直近の2018年10~12月期の成長率は6・4%まで落ち込んでいる。
李氏の演説を中継した国営テレビは、壇上に居並ぶ習氏らではなく、もっぱら会場の聴衆の表情を映した。厳しい経済環境を呼び込んだ責任を問う庶民の視線を、指導部からそらすかのようだった。
共産党指導部は17年以降、成…