愛知県豊田市で昨年7月、市立梅坪小学校1年の男子児童(当時6)が校外学習後に死亡した事故で、同市教育委員会が設置した第三者調査委員会が5日、報告書を発表した。教員たちの熱中症に関する知識が不足し、適切な措置を取れなかったことが原因とし、再発防止策としてマニュアルの作成や養護教諭の増員などを提言した。
報告書によると、事故が起きた昨年7月17日の気温は午前10時で32・9度だった。「暑さ指数」では「危険」「運動は原則中止」だったが、教員が予定通り校外学習を実施したことについて、「中止、延期するべきだったが暑さに対する知識不足から判断できなかった。マニュアルもなかった」と指摘した。また、亡くなった児童は体質的に暑さに弱かったとみられるという。
市教委は5日、調査委が提言した再発防止策を受け入れる形で対応策を発表した。市内104の全小中学校、特別支援学校の教員に熱中症に関する研修の受講を義務づけるほか、非常勤の養護教諭を増員し、夏の行事計画を見直す。市教委の鈴木直樹学校教育課長は会見で、「暑さへの対応は、災害から子どもを守るのと同じという認識で取り組む」と話した。
調査委は、国の「学校事故対応に関する指針」に基づいて設置され、弁護士や医師ら4人からなる。報告書は、梅坪小の教職員らから聞き取りをしてまとめた。市教委は今月1日に文部科学省に報告した。(臼井昭仁)