LGBTなどの性的少数者をはじめ、「SOGI(ソジ)」(性的指向・性自認)の多様性への理解を深めて適切に行動できるように、三重県が職員向けのガイドラインを作った。市町や企業の参考にもなるよう県の公式ホームページからダウンロード可能にした。県によると、同様の職員向けガイドラインは東京都文京区や千葉市などがすでに設けているが、都道府県では初めて。
「多様な性のあり方を知り、行動するための職員ガイドライン」で、職員が適切に行動し、職員自身がLGBTなど当事者である場合も安心して働けるように職場での心構えや、どう行動すべきかについての重要なポイントを「6か条」にまとめているのが特徴だ。
SOGIについての正しい知識を身につけ、理解を深める(第1条)▽カミングアウトや相談を受けた場合は真摯(しんし)に受け止める。周りに伝えることは絶対にしない(第3条)▽来客対応などで名前や性別の情報は慎重に扱う(第5条)――などを盛り込んでいる。
また、当事者から打ち明けられたり、相談されたりしたときに、「決して否定せず、その人の話に耳を傾ける」「これまでに打ち明けた範囲や、誰に伝えていいのか、悪いのかを聴く」など具体的な対応を掲載。相談窓口や支援団体の連絡先もQRコードなどで紹介している。
県内に当事者がいることを切実に感じてもらうため、「カミングアウトをしたが、理解してもらえず、正社員になれなかった」「学校では制服、トイレ、体育の授業など、性別で分けられることが多く憂鬱(ゆううつ)だった」「役所の書類などにおける不要な性別欄は廃止をしてほしい」といった当事者の声も載せた。
今月中には職員を対象にガイドラインの説明会を開催する。鈴木英敬知事は「ガイドラインを文章や文字だけで感じるのでなく、研修や当事者の方との交流を通じて実際の行動が変革されていくように努力したい」としている。(小林裕子)