加茂市出身の政治学者が、故田中角栄元首相の地盤だった衆院旧新潟3区の自治体について分析した研究書を出版した。その狙いは、田中氏の影響で橋や道路が整備された「利益誘導と地域開発」だけではない、自治の多様なあり方を示すことにある。
研究書は、地方自治論が専攻の東洋大准教授の箕輪允智(まさとし)さん(36)が書いた「経時(けいじ)と堆積(たいせき)の自治――新潟県中越地方の自治体ガバナンス分析」(吉田書店)。自治体には固有の「地域性」が時間の経過とともに地層のように「堆積」し、自治のあり方が決まっていくという意味をタイトルに込めた。
箕輪さんが研究対象に選んだ自治体は地元の加茂市、三条市、柏崎市、旧栃尾市(長岡市に吸収合併)。田中氏の地元振興策は利益誘導と批判されたが、そのおひざ元ではどんな自治が行われていたのか。それを探るため、戦前から2000年代までの新聞記事などを集め、当時の市幹部や市議ら約20人に計60時間のインタビューを行った。
分析した結果、見えてきたのは…