高校の授業料無償化の対象から朝鮮学校を除いたのは不当だとして、九州朝鮮中高級学校高級部(北九州市八幡西区)の生徒だった68人が、国に慰謝料など約750万円を求めた訴訟の判決が14日、福岡地裁小倉支部であり、鈴木博裁判長(植田智彦裁判長代読)は原告の請求を棄却した。
高校の授業料無償化は民主党政権下の2010年に始まり、外国人学校も適用対象とした。だが、自民党への政権交代後の12年、下村博文・文部科学相(当時)が朝鮮学校について「拉致問題の進展も見られず、朝鮮総連と密接な関係がある」として適用対象外とする方針を示した。文科省は翌年に省令を一部改正し、朝鮮学校を無償化の対象から外した。
原告側は除外措置について「政治、外交的理由であることは明らかで無償化法の趣旨に反する」と主張。国は文科相の裁量の範囲内だとしていた。
朝鮮学校をめぐる同様の裁判は全国の5地裁・支部で提訴された。17年7月の大阪地裁判決は、除外措置が外交的、政治的意見に基づいたもので違法と判断したが、18年9月の大阪高裁判決は原告の逆転敗訴を言い渡した。東京高裁、名古屋、広島の両地裁でも原告が敗訴している。(新屋絵理)