１９６４年の前回東京五輪から半世紀にわたり、夏季五輪の開催地に足を運び、「オリンピックおじさん」として知られた山田直稔（なおとし）さんが９日、心不全のため死去した。９２歳だった。最後の現地観戦となった２０１６年リオデジャネイロ大会。金色の帽子をかぶり、日の丸の扇子を振って応援する姿は、ブラジルの観衆も魅了した。 「オリンピックおじさんが来ています」 リオデジャネイロ大会も終盤になったころ、女子レスリングの競技会場にいた記者の携帯が鳴った。同僚のカメラマンからだった。 携帯を耳にあてながら、場内をゆっくり見回す。ちょうど対角あたりの一角に、金ぴかの男性がいた。ゆらゆら、体を揺らしている。 「場所、わかりました」 カメラマンに伝え、駆け足で向かった。 大会は、試合の合間にリズミカルな楽曲がさかんに使われ、会場を盛り上げていた。この辺だなと見当をつけた場所にたどり着くと、「恋のマカレナ」にあわせて扇子を振る山田さんがいた。横にはブラジル国旗を掲げて踊るブラジル人女性。２人とも、とても楽しそうだった。 「リオも、いらっしゃったんですね」とたずねると、満面の笑みを浮かべ、こんな答えが返ってきた。 「地球上でこんな男は一人しか… |
リオに舞った日の丸の扇子 世界ではじけた「金」の笑顔
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