パリ発ロンドン行きの高速鉄道「ユーロスター」で大幅な遅れや欠便が相次いでいる。英国の欧州連合(EU)離脱に伴い、フランスの税関職員らがパスポートやセキュリティーのチェックを念入りにする「離脱後の予行演習」を今月から始めたことが原因という。
【鉄道特集】テツの広場
英メディアによると、税関職員らは労使交渉で賃上げや労働環境の向上に加え、英国のEU離脱に伴う混乱に備えた態勢強化として職員の増員を要求している。英国のEU離脱は29日に予定されているが、離脱協定案は英議会に拒絶されたままで、離脱の延期に向けた交渉が英・EU間で時間切れギリギリまで行われる見通しだ。もしこの交渉が決裂すれば、国境検査が厳しくなると予想される。
パリでは、急に入念になった出国手続きや手荷物検査を待つ人々の長い列ができ、ネット上では「行列に4時間半も並んだ」「列車が78分遅れた」などと憤る書き込みが相次いでいる。
19日も、パリ発ロンドン行き14便のうち4便がキャンセルに。運行会社は、混乱は少なくとも24日まで続くとみて、絶対に必要でない限りパリからは乗車しないよう呼びかけている。この間の乗車券は、変更や返金に応じるという。(ロンドン=下司佳代子)