日立製作所が英国での鉄道事業で試練に直面している。24日に営業運転を始めた新型電車は予期せぬ部品の交換を強いられて引き渡しが遅れ、6月には本命視されたロンドン地下鉄の新型車両の受注を逃した。世界の鉄道車両メーカーの一角として存在感を示すには、リスク管理を高められるかがカギになる。
「実に複雑な案件だった」。英北部スコットランドを走る新型電車の営業運転開始を翌日に控えた23日、試乗会で日立レールヨーロッパのカレン・ボズウェル社長はこう打ち明けた。
グラスゴーとエディンバラを結ぶこの路線は昨年中に運転開始の予定だったが、車両の不具合の修正に時間がかかるなどして大幅に延期されたためだ。
鉄道インフラを管理する別会社の電化工事が進まず、日立の車両のテスト走行開始が遅れたのが発端。「運転席の窓ガラスに信号機の光が二重に映る」などと運転士の生の声に触れられたのも今年1月にずれ込み、急きょ取り換えを強いられた。英メディアによると、営業運転の開始が遅れたことに、スコットランド自治政府の閣僚から日立の責任を問う声も上がった。日立がこれまでに引き渡したのは、受注した70編成(234両)のうち11編成で、残りを19年までに順次納入する計画だ。
ロンドン地下鉄でも誤算があっ…