21日に告示される11道府県の知事選では、5人の現職が多選の目安とされる4期目以上に挑む。期数を重ねることで存在感が増し、与野党相乗り状態になったところもあれば、多選批判を引き金に「保守分裂」を招いたところもある。
大分県竹田市で1月に行われた中九州横断道路の開通式典は、市内のホールで行われた。スクリーンに映る横断道路の映像を背に、知事の広瀬勝貞氏(76)らがテープカットをした。
式典の2日前、会場は県と国土交通省の国道事務所の調整で、横断道路上からホールに変更された。広瀬氏は昨夏、鼠径(そけい)ヘルニアの手術を終えたばかり。出席した県内の市長は「足が弱い知事を歩かせてはいけない」という配慮と受け止めた。自らも含め「周囲にそう思わせるほどの力の大きさ」を感じたという。
広瀬氏の陣営では、多くの地元財界人が責任者を務める。4期16年の経験に加え、経済産業省の初代事務次官としての国とのパイプに期待を寄せるからだ。県商工会連合会の森竹治一会長は道路の陳情の際、財務省の担当者が広瀬氏に「書類を見てわかっています。頑張ります」と恐縮した姿を見せたことに驚いた。
前任の故・平松守彦氏も6期24年を務め、県内の全市町村にそれぞれの特産品を作る「一村一品運動」を提唱した。県庁内には広瀬氏に気兼ねし、地方分権の先導役だった前任者の看板政策「一村一品」を口にするのをはばかる空気があるという。元県幹部は「当選を重ねると周囲が忖度(そんたく)するというのは正直ある。本人が考えてもいないのに勝手に気を回す」と解説する。
そうした存在感は、5期目を狙…