慶応大は20日、メディア学者・ジャーナリストの渡辺真由子氏に2017年2月に授与した博士学位を取り消したとホームページで発表した。15日付。「先行研究の成果に関する適切な表示を欠く流用が含まれていた」ためとしている。
昨年11月、この博士論文をもとにした渡辺氏の著書「『創作子どもポルノ』と子どもの人権」について、版元の勁草書房が「無断転載」があったとして絶版にし、回収。慶応大は調査委員会を立ち上げ、博士号を出した大学院政策・メディア研究科を中心に博士論文を調査していた。
慶大は20日、「博士学位を取消すにあたって」と題した村井純委員長名の文書を公表。渡辺氏が「基本的な注意義務を著しく怠った」ため、学位授与の審査の際、渡辺氏の「学術的な貢献および資質に係る重大な誤認を惹起(じゃっき)した」と説明。「不正の方法により学位の授与を受けた事実」に該当するとした。
村井氏は「このような事態が生じたことは、極めて遺憾」とも記し、「今回の事態を極めて重く受け止め、研究指導ならびに論文審査過程を精査して、再発防止に努めてまいります」とした。
渡辺氏は20日、調査委員会による調査に疑念を呈し、「不服申し立てをする予定」などとツイッターで表明した。「調査委員の大半を身内で固め、しかもその内の1人は、調査対象となっているはずの教員の教え子」などとつづっている。