茨城県取手市で2015年11月、市立中学3年の中島菜保子さん(当時15)が自殺した問題で、県の調査委員会は20日、同級生3人によるいじめが原因とする調査結果を公表した。当初いじめを認めなかった地元の取手市教委の対応について「極めて問題だ」と厳しく批判した。菜保子さんの両親は「娘の訴えが受け入れられた。やっとたどりついた」と話した。
報告書では、菜保子さんが同級生から連日のように「くさや」と呼ばれたり、アルバムに悪口を書き込まれたりした行為をいじめと認定。いじめた同級生が音楽室のガラスを割った際に、「自分は関係ない」と複数の教員に訴えたが、連帯責任などを問われたことが自殺の引き金になったと指摘した。
菜保子さんは帰宅後に自宅で首をつり、翌日亡くなった。数日後に「いじめられたくない」などと書き残した日記が見つかり、両親が市教委に調査を求めた。
市教委は翌16年3月、「いじめによる重大事態に該当しない」と議決したうえで調査委を設置していた。報告書はこの点を「(いじめ防止対策推進法に対する)無理解で対応は違法。生徒からのヒアリングも極めて不十分」と批判した。
市教委は両親の求めで17年5月に議決を撤回し、両親に謝罪。6月に調査委を解散した。市教委との信頼関係が失われたとして、知事のもとに調査委を置くように両親が求め、県が市から事務の委託を受けるという異例の対応をとり、大学教授や弁護士、臨床心理士ら専門家6人で調べていた。
父親の考宜(たかのぶ)さん(47)は調査委について「真摯(しんし)に向き合ってもらった」としながらも、菜保子さんの死から3年余がたっての結論となったことについて「あまりにも時間がかかりすぎた」と話した。(佐藤清孝)