神奈川県の公立高校で、教科横断型の知識を問いながら、思考力も測る入試問題が広がりつつある。「思考力・判断力・表現力」を重視する大学入試改革が進むなか、県教育委員会が対応を加速させている。(木下こゆる、宮坂麻子)
車で通過すると「チューリップ」の曲が聞こえてくる「メロディーロード」。道路に刻まれた溝の上をタイヤが通過すると音が出る仕組みを考える、中学生と教員の会話文を読んだ上で、「溝の間隔と車の走行距離」の関係をグラフにしたり、聞こえる音を示す正しい音符を選んだりする――。
2月に実施された神奈川県立湘南高校(藤沢市)の入試の問題の一つだ。楽譜を読んだり、振動と音の関係を理解したりするなど、複数の教科の知識を活用し、思考力も問う内容。県立横浜翠嵐高校(横浜市神奈川区)では、「心肺蘇生法を含む一次救命処置の手順」の正しいフローチャートを選ぶ問題が出た。
どちらも、「特色検査」の一種の「自己表現検査」で出題された。2013年春から現在の形となった神奈川県の高校入試は内申、学力検査、面接のほか、学校ごとに特色検査を行うこともある。実技を採り入れている学校もあるが、湘南や横浜翠嵐などの難関校は教科横断型の筆記試験の「自己表現検査」を課している。塾関係者は「教科の知識だけでは解けない内容だ」という。
県教委は、こうした自己表現検査を他校にも広げようとしている。昨年7月には、「学力向上進学重点校」に指定している湘南、横浜翠嵐などの4校に加え、「学力向上進学重点校エントリー校」に指定する13校でも行うと発表。出題も各校の独自作成を改め、共通問題と共通選択問題で構成するとした。今年の入試では既に、重点校4校とエントリー校3校が共通問題で自己表現検査を実施した。来年は全17校に広げる予定だ。
県教委高校教育課の担当者は、…