今年1月にがんを公表した、ミュージシャンの河村隆一さん。薬師寺について、宗教について、そして人生について、語っていただきました。
河村隆一さん、がんを語る 結成30年目の再始動
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――薬師寺との縁はどのように始まったのですか。
2007年、薬師寺の講堂の前にステージを組んでコンサートをさせていただいたのが最初です。僕を含めた何人かのアーティストが出たんです。あと食堂(じきどう、僧侶の食事や儀礼の場。17年に再建された)が完成した時にも、食堂でマイクを使わないコンサートをさせていただきました。
薬師寺は「お薬師さん」と言われていて、三蔵法師とのゆかりの話や、天皇が皇后の病が治ることを祈って建てたという話がありますが、基本はお坊様がすごい勉強をし、修行をされている場所ですよね。
ここで歌うには、高い意識を持っていかないと負けるなと。もちろん1300年という歴史がここにありますし、元々奈良は都だったわけですし、その中心部である薬師寺で歌うということで、緊張も意気込みもすごかったですね。
2007年、薬師寺で開かれるコンサートへの抱負を語る河村隆一さん=奈良市の薬師寺
――ほかのコンサート会場とは、やはり違う印象でしたか?
僕は歌を通して自分の人生を見つめて、あそこが足りない、ここができるようになった、と一喜一憂しながら、人生、旅をしているようなところがあります。
この後、河村隆一さんが両親の離別や薬師寺とのつながりについて熱く語ります。
一方で、お坊様たちは人々の痛…