名古屋臨海高速鉄道(あおなみ線)は4月から、事故や災害などの緊急時に空気で膨らませるタイプの避難用滑り台(スライダー)を導入する。高齢者や体の不自由な人も車内からスムーズに脱出できることを目的としている。現在運行している1000形の全8編成に1セットずつ載せる予定。
スライダーは全長4メートル、幅1メートル、高さ約1・10メートル。生地はポリ塩化ビニール製で厚さ0・9ミリ。普段は乗務員室に電動式の空気ポンプとともに収納され、緊急時には膨らませてドアに設置する。完全に膨らむまでに約2分かかるという。
エア遊具の製作などを扱う会社「BRAVO」(愛知県安城市)が、飛行機のシューターをヒントに開発した。同社の加藤政昭社長は「角度や幅を調整し、誰でも安全に滑ることができる形を目指した」と話す。
あおなみ線では2004年の開業以来、車両内に「非常用はしご」を搭載していた。だが、昨秋の避難訓練を体験した社員から「はしごだとお年寄りが降りるのが大変」などと意見があがり、見直すことになった。あおなみ線の担当者は「乗客には安心して速やかな避難を誘導できるようにしたい」と話した。(佐藤英彬)