29日告示の宮崎県議選で、高千穂町など3町からなる西臼杵(にしうすき)郡は8期続けて無投票となった。「平成」の時代に県議選が一度もなかった選挙区を歩いた。
観光地の高千穂峡で知られ、熊本、大分両県と接する宮崎県北部の高千穂町。「ふるさとを命がけで守っていきます」。29日朝、新顔の佐藤雅洋氏(53)は第一声で訴え、選挙カーで3町の中心部を回った。
西臼杵郡選挙区は定数1。立候補を届け出たのは佐藤氏1人で、午後5時、当選が決まった。「投票のなかった私にはこれからが本当の戦い。地域の信頼を得ていきたい」と語った。
西臼杵郡で最後に県議選の投票があったのは、国鉄が分割民営化された1987(昭和62)年。定数2で3人が立候補した。以降は候補者が定数と同数にとどまり、99年に定数1になっても変わらない。
「異常な状態ですな」。87年に初当選し、8期務めて今期引退した緒嶋雅晃氏(78)は話す。支援者から「投票用紙に書いたことないから、あなたの名前を漢字で書けん」と皮肉っぽく言われるという。
今回、水面下で「ポスト緒嶋」…